目次

  1. ふみペンとしての出発と挑戦

  2. ともペン工房へと至る転機

  3. 新しい工房のビジョンとこれから


1. ふみペンとしての出発と挑戦

私が「ふみペン」という名前で活動を始めたのは数年前のことです。きっかけは、ごく小さな木片を手にしたときでした。何気なく手に取った木の端材を削り、ペンの形に整えてみたところ、その自然な温もりと独特の木目が、自分自身の心を深く癒してくれることに気づいたのです。

「木でペンを作る」──それは単なるクラフトを超えて、暮らしに寄り添う道具を生み出す営みとなっていきました。最初はほんの数本の作品をフリマアプリに出品することから始まりましたが、少しずつ購入してくださる方が現れ、そこから「ふみペン」という名前で活動を続けることになりました。

ふみペン時代は、とにかく「数を作る」ことに重きを置いていました。屋久杉、楠、ケヤキ、ウォールナットなど、さまざまな樹種を使い、毎日のようにペンを削り、出品しては売れ行きを確認する。そんな試行錯誤の中で、「木軸ペンを通して誰かに喜んでもらえる」という実感が育っていきました。

ただ、その一方で、課題も多く感じていました。価格を抑えて販売することで多くの方に手に取っていただくことはできましたが、原材料や手間を考えると利益はわずかでした。さらに、「ふみペン」としてのブランドが定着するにつれて、「もっと質を高めたい」「長く愛される作品を作りたい」という思いが強くなっていったのです。

2. ともペン工房へと至る転機

そんな中で、ある時期に「変化の必要性」を強く意識するようになりました。理由は大きく三つあります。

ひとつは、「作品の方向性を整理したい」 という思いです。ふみペン時代は、日常的に多くの作品を生み出していましたが、そのぶん「どんなコンセプトで届けたいのか」が曖昧になりやすいという側面がありました。一本一本が大切であることは変わりませんが、ブランドとしての「軸」が必要だと感じるようになったのです。

ふたつめは、「信頼される工房らしさを築きたい」 という願いです。単なるハンドメイド作家ではなく、「工房」という形で表現することで、作品に対する責任感や品質へのこだわりを、より強く打ち出したいと考えるようになりました。「ともペン工房」という名前には、「ともに歩むペン」「誰かの手に寄り添うペン」という意味を込めています。

三つめは、「自分自身の成長に合わせた進化」 です。制作活動を続ける中で、ただ売るだけでなく、木言葉やストーリーを込めて届けることの大切さを実感しました。「ふみペン」は私の原点ですが、さらに一歩先に進むために、新しい屋号とともに再出発する決意を固めました。

こうして、「ふみペン」から「ともペン工房」への変化が始まったのです。

3. 新しい工房のビジョンとこれから

「ともペン工房」としての活動は、まだ始まったばかりです。しかし、すでにいくつかの方向性が明確になってきています。

第一に、作品の質を重視すること。大量に作るのではなく、一つひとつの木材と向き合い、仕上げやデザインに丁寧さを込めることを大切にしています。その結果、完成したペンには「長く使いたい」と思える存在感が宿るようになってきました。

第二に、木言葉やストーリーを伝えること。木には一本ごとに物語が宿っています。屋久杉なら悠久の時を刻んだ力強さ、楠なら人を癒す香りと守護の意味。そうした「木のメッセージ」を言葉として添えることで、作品がただの道具ではなく「心に響く贈り物」となるのです。ともペン工房では、ペンに木言葉カードを添えてお届けするようにしています。

第三に、伝わりやすい形で広げること。販売はこれまで通りメルカリやヤフオクを中心に行っていますが、今後はBASEなどの専用ショップも展開していく予定です。さらに、NOTEやブログを通じて制作の裏側や木の魅力を発信し、木軸ペンの世界をもっと多くの人に知ってもらいたいと考えています。

ともペン工房として再スタートを切った今、私は「手にした人の暮らしに寄り添う一本」を作り続けたいと思っています。それは、単に文字を書くための道具ではなく、心を落ち着け、前向きな気持ちを支えてくれる存在。忙しい日常の中で、木の温もりを感じる瞬間があることの豊かさを、作品を通じて届けたいのです。

ふみペン時代に築いた経験は、私にとってかけがえのない財産です。その積み重ねがあったからこそ、「ともペン工房」という新しい形に進む勇気を持てました。これからも変化を恐れず、一歩ずつ進んでいきたいと思います。

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