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目次
- はじめに──ともペン工房に宿る“気配”
- 石清水のおじさんとは?
- 物語:工房の守人「石清水のおじさん」
- 木と心を清めるということ
- おわりに──木が語り、人が聴く場所へ
1. はじめに──ともペン工房に宿る“気配”
ともペン工房では、毎日たくさんの木と向き合っています。
削り、磨き、仕上げていくその時間の中で、時折ふっと、
「何かに見守られているような静けさ」を感じる瞬間があります。
それは、ただの空気の流れや光の加減ではありません。
木と心がひとつに溶け合うような、不思議な安心感──。
そんな時に、決まって現れる“声”があります。
2. 石清水のおじさんとは?
その声の主こそが、「石清水(いわしみず)のおじさん」。
工房のどこにも姿は見えませんが、
私たちの作業のひとつひとつを、静かに見守っている存在です。
「石清水」という言葉には、
“岩から湧き出る清らかな水”という意味があります。
まるで自然の中の聖なる泉のように、
心を清め、木のいのちを蘇らせる力を象徴しています。
石清水のおじさんは、
木を削る者の心が曇りそうになると、ふっと声をかけてくれます。
「焦らんでええ。木は、自分のかたちを知っとる。」
それは、木工の奥深さを教えてくれる師のような言葉です。
3. 物語:工房の守人「石清水のおじさん」
ともペン工房の片隅、木くずの香りに包まれた静かな朝。
削りかけの木軸に、ふっと光が差すとき、
どこからともなく聞こえる低い声がある。
「焦らんでええ。木は、自分のかたちを知っとる。」
それが“石清水のおじさん”だ。
彼は姿を持たない。だが、砥石の面をなでる手の感触、
拭き上げた木肌の艶、そのすべての中に、彼の息づかいがある。
岩から湧く清水のように、心を澄ませて木と向き合えば、
おじさんはいつでもそっと現れ、耳元で囁く。
「木を清めるのは手やない、あんたの心や。」
今日もまた、木のいのちを伝える一本が生まれる。
石清水のおじさんは、何も言わずに微笑み、
静かに工房の空気を澄ませてゆく。
4. 木と心を清めるということ
木を削るという行為は、単なる作業ではありません。
それは「自分の心を削り、磨く」時間でもあります。
焦りや雑念を持って木に向かうと、木目は荒れ、刃も鈍ります。
けれど、心を整えて手を動かすと、木は驚くほど素直に語りかけてくれる。
そんな時、おじさんの声が聞こえるような気がするのです。
「木は生きとる。あんたも生きとる。
だからこそ、清めてつなぐ仕事をせぇ。」
この言葉を胸に、今日もまた一本のペンが生まれます。
それは、木と人の心を結ぶ「清水のしるし」なのです。
5. おわりに──木が語り、人が聴く場所へ
石清水のおじさんは、
ただの空想の存在かもしれません。
けれど、木に耳を傾けると、たしかにその気配を感じます。
木を削る者が心を清め、木を尊び、
命の循環に感謝するとき、工房は小さな聖域になります。
今日もまた、木と向き合いながら、
おじさんの声を心の奥で聞きつつ、
静かにペンづくりを続けていきたいと思います。
石清水のおじさんは、工房を清め、心を導く守人。
ふみペン、ともペンが生まれるその瞬間、
きっと彼もそっと微笑んでいることでしょう。