目次
- 実家の庭の柿の木が語りかけてきた日
- 黒柿とは?美しい模様と神秘の由来
- 木軸ペンとしての黒柿の魅力と市場価値
- 黒柿の木言葉──「再生」「深い叡智」
- Instagramでふみペン作品を紹介中
1. 実家の庭の柿の木が語りかけてきた日
先日、実家の庭に立っていた古い柿の木を、ふと削ってみることにしました。長年、実を結ばなくなり、幹の一部が枯れていたその木。けれども、どこか放っておけず、試しにノコギリを入れてみたのです。
すると、目の前に現れたのは――深い黒と茶の縞模様が入り混じる、美しい木目。まるで墨を流し込んだような文様に、思わず息をのみました。
「これは……黒柿かもしれない」
そう気づいた瞬間、胸の奥に小さな震えが走りました。ずっと見慣れていた実家の柿の木が、実は希少な“黒柿”だったのです。
2. 黒柿とは?美しい模様と神秘の由来
黒柿とは、通常の柿の木の中でも、極めて稀に木の中心部に“黒い縞模様”が現れるものを指します。この黒い部分は、数十年から百年以上の時間をかけて自然に生成されるもので、腐食や鉱物の影響、菌類の作用など諸説ありますが、今も科学的に完全には解明されていません。
そのため、一本の木の中でも黒い模様が現れるのはほんの一部で、まさに“自然が描く唯一無二のアート”。
木工の世界では古くから珍重され、茶道具や仏具、刀の鞘など、高貴な品に用いられてきました。
3. 木軸ペンとしての黒柿の魅力と市場価値
木軸ペン作家としての視点から見ると、黒柿はまさに「特別な一本」にふさわしい素材です。
木目のコントラストが強く、光の角度によって表情が変わるため、仕上げのオイルやワックスによって深みがぐっと増します。一本一本の模様が異なり、同じ模様は二度と出会えません。
市場価値としても、黒柿は非常に高価です。木材そのものでも1立方センチあたりの単価が他の木の数倍、黒の入り具合が良ければ小さな端材でも取引されるほど。木軸ペンとして完成したものは、一般的なウォールナットや花梨のペンが2,000円前後であるのに対し、黒柿は5,000円〜10,000円前後で販売されることもあります。
「黒柿ペン」として出品すれば、希少性とストーリー性の両方から、多くの木工ファンの目を引くでしょう。
4. 黒柿の木言葉──「再生」「深い叡智」
黒柿の木言葉には、「再生」や「深い叡智」「静かな力」といった意味があります。
普通の柿の木の中から、長い年月を経て“黒い模様”が浮かび上がる姿は、まるで人生の深みや内面的な成熟を象徴しているかのようです。
削るときも、他の木よりも少し硬く、密度が高い印象があります。その抵抗感の中に、時間の重みと生命の記憶を感じるのです。
ふみペンにとっても、この黒柿は“自分の原点”のように感じます。実家の庭という身近な場所から、奇跡のような木が生まれたこと。それは、「身近なところにこそ、宝が眠っている」というメッセージのようにも思えました。
5. Instagramでふみペン作品を紹介中
現在、ふみペンのInstagramでは、この黒柿ペンの制作過程や完成写真を紹介しています。
木目がどのように表情を変えるか、光の当たり方でどんな艶が出るのか──そんな“木の息づかい”を写真でお届けしています。
フォロワーさんとの交流の中で、「この模様、まるで墨絵のよう」「自然が描いた奇跡ですね」といったコメントもいただきました。
私にとってInstagramは、ただの販売ツールではなく、“木と人との物語を共有する場所”です。
私のInstagramは下記です。
🌱おわりに
実家の庭の一本の柿の木が、思いがけず“黒柿”という奇跡を見せてくれました。
長い年月をかけて刻まれたその模様は、まるで人生の年輪のよう。削るたびに、静かで力強い祈りのようなものを感じます。
「黒柿」は、ただの木材ではなく、時の記憶と再生の象徴。
これから、この黒柿の木で作るペンが、誰かの手に渡り、新たな物語を紡いでいくことを願っています。